公認会計士に学歴は関係するか?受験から就活、仕事まで徹底解説!

慶應義塾大学の建物

公認会計士は難関の国家資格です。

そのため有資格者の学歴もそうそうたる学校名がイメージされそうです。

確かに、会計士達の学歴は優れたものが多いですし、中には学歴のことで気後れしてしまう人もいるでしょう。

ですが心配いりません。
というより、学歴の事を案じるなんて時間の無駄!

この記事を読んでいただければわかるはずです。

ですので、読み終えたら気持ちを切り替えて、公認会計士としての未来に向かって歩き出しましょう!

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:公認会計士・税理士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営
・学歴:早稲田大学理工学部中退、慶應義塾大学経済学部卒業

目次

公認会計士試験と学歴

早稲田大学の大隈講堂

会計士試験合格者の主な出身校

最初に会計士試験合格者の主な出身校を見ておきます。

公認会計士三田会(慶應義塾大学)の集計によりますと、

  • 慶應
  • 早稲田
  • 中央
  • 明治

といった学校名が例年、上位に並んでいます。
特に慶應がダントツに多いといえます。

私立大学が比較的多い感じですが、この後に東大、京大といった名門国立大学も登場します。

また、合格者の全体を見ても、大学卒業及び大学在学が併せて85%以上を占めています(参考:令和5年公認会計士試験合格者調)。

会計士試験で高学歴が並ぶ理由

学歴データについては上記のような傾向がありますが、その理由としては次のようなことが考えられます。

  • その大学が多くの会計士を輩出している
  • 専門学校が近くにあり、地理的にも誘致しやすい
  • 受験勉強に慣れている

会計士は弁護士に比べるとマイナー感がありますし、仕事内容も詳しくは知らなかったりします。

それでも、自分の大学から多くの会計士がでているとなると、なんとなく「自分も…」という気になってくることは否定できません。

これに専門学校の宣伝等による誘致があると尚更です。

あと、受験勉強に慣れていること。

いくら会計士に惹かれても(あるいは誘致しても)試験に受からなくては意味がありません。

しかも会計士試験は難関であり、受験テクニック的なところもかなり求められます。

必然的に大学受験の経験や勉強のコツが会計士試験にも役立ってくるのです。

結果、学歴の高さが会計士合格に結びつくのではないか、とも思えてきます。

でも、そこは勘違いしないでいただきたい!

以下では、そうではないことを確認していきます。

実は試験合格に学歴は関係なし!

ここで全ての結論です。
冒頭の繰り返しになりますが、

公認会計士に学歴は基本的に関係なし!

まず、公認会計士試験には受験資格の制限はありません。

税理士試験では大学で一定単位を取らなくてはいけない等、受験要件が課されますが、会計士には一切ないのです。
実際に、最年少の合格者は現役高校生でした。

門戸は完全に開かれているということです。

また、合格者の出身校の上位は先の通りですが、それは

試験合格には正しい勉強法と努力の積み重ねが必要であること

を間接的に表しているに過ぎません。

言い換えると、
早慶出身だから正しい勉強や努力ができるのではありません。逆です!
正しい勉強や努力ができるので、結果として学歴も部分的についてくる、ということです。

端的な例を挙げてみますと、
令和5年では会計大学院修了者の論文合格率9.2%なのに対して、高卒者のそれは35.3%となっています(データ引用:令和5年公認会計士試験合格者調)。

つまり、受験で求められるのは、難しいことができることでもなければ、高学歴であることでもありません。
誰もができる箇所を落とさず、かつ要領よく計算処理できるかどうか、ただそれだけです。

しかもそのために必要な教材やカリキュラムは受験予備校で用意されているほか、ネット等でも有用な情報はいくらでも入手可能です。

あとは、あなたの今後の努力次第、ということになってきます。

公認会計士の就職活動と学歴

ここでは大手監査法人を前提とします。

監査法人によっては、入所してみて慶応ばっかりに見えたり、中央ばっかりに感じたりすることもあるでしょう。

ですが、これは就職が学歴に左右されるのではなく、先ほどの合格者の比重が多少なりとも影響している結果だと思われます。

同時に他の出身校の合格者が相対的に少ないことも原因と言えます。

ですので、もし学歴云々のことが話題に上がったとしても、雑談程度です。

確かに早慶と高卒とでは(ほかの条件が同じならば)採用者側の心証が全く同じということはないでしょう。

ですが、特に就職難ということではない限り、同じ会計士試験合格者として対等にスタートできるはずです。

公認会計士の仕事と学歴

人事評価表

監査法人での評価や昇進に学歴は関係するのか?

こちらも同様です。

学歴で評価されたり、学閥が形成されていて、それが昇進に影響する、なんてことはあり得ません。

大昔のことは知りませんが、今日は学歴だけで昇進できるほど甘くはない、と言ったら良いでしょうか。

むしろ、もしかしたら逆に高学歴なほど、シビアな目で見られるかもしれません。
「慶応卒のくせに英語もできんのか?学歴だけで使えないヤツ!」みたいな(まっ、コレもあまり心配ないと思いますが)。

ただし、優秀な人は学歴高く、その実力に応じて昇進していくことは当然ながらあり得ます。

この場合も学歴自体が評価されているのではありません。

結局、会計士としてスタートした後の努力と実績が大切ということになってきます。

例えば

  • 積極的に勉強する
  • クライアントと上手くコミュニケーションを取りながら必要な資料を入手したり、段取りを決めたりする
  • デッドラインまでにきちんと書類を仕上げる

どれも学歴とは関係ありませんよね。
しかも、どれも努力すればできるようになるものばかりです。

実際の仕事ぶりと学歴との関連

では実際の各人の仕事状況はどうでしょうか。

これも、基本的に学歴は関係ないと言えるでしょう。

筆者も色々なチームメンバーを見てきましたが、努力している人は学歴に関係なく皆優秀な会計士になっていきました。

他方で、会計士排出トップの早慶が最初から飛び抜けていたかというと、そういう記憶や印象はありません。

逆に、同期の慶応出身者達を抜き、いち早く海外駐在を経てパートナーになった人(いわゆる一流大学ではない学校卒の人)もいました。

ただし、東大だけは別格

ホントに彼等(東大卒)は何でもスマートにこなしていました。

話術もうまいし、地頭の良さを見せつけられます。
例えば、英会話も早ければ2週間~1ヶ月程度でネイティブの英語が聞き取れるようになるなど。

あまりやらなくても(努力しなくても?)できてしまうようです。
羨ましいというか、妬ましいというか…

ただし、東大はまだまだ会計士の世界ではどちらかというと少数派。
それほど気にする必要もないと思います。

実は会計士にも学歴が関係してくることはある~筆者の経験より~

空に投げられた学帽

上記の通り、基本的に学歴が会計士に関係してくることはないのですが、実際に絶対あり得ないかというと、それは違います。

そこで、ここからは筆者の経験を踏まえた少しショッキングな現実をご紹介しようと思います(念のため)。

中小監査法人や個人事務所では事情が異なる

中小法人や個人の会計士事務所になると事情が少し変わってきます。

すべての事務所がそういうわけではないのですが、事務所代表者やパートナーの中には、学歴にこだわる人もいるのは確かです。

例えば筆者がバイトをしていた某事務所では、スタッフの募集に際して自分の大学の後輩を採用しようとしたパートナーがいました。

さらに言えば、大手監査法人でも(表向きはともかく)パートナーたちの内心がどこまで学歴を気にしないでいるかはわかりません。
個人の価値観はそれぞれですし、100%学歴は関係ないと言い切るのは難しい気がするのです。

ただし、もし仮に学歴だけを優先して人選したり評価したりすれば、後々、禍根を残すこともあり得ます。

現に(大学の)後輩を採用したパートナーは、結局、その後の人間関係がうまくいかず、実務に支障がでてしまっていました。

経済情勢や就職状況によっては学歴は影響する?

この記事を執筆している時点では、就職状況は比較的売り手市場です。
先ほど述べたように、学歴が就職に直接影響することはないでしょう。

ですが、この業界は売り手市場と就職氷河期が交互にやってきました。

特に経済状況が悪化した時などは、その落差が極端です。
リーマンショック時などは、事実上のリストラが大手事務所でなされたほどです。

そんな厳しい状況下にあっては、学歴も無関係ではなくなってくると言われています。

ただし、筆者の経験からすると、単に学歴が高い・低いだけの問題にとどまりません。

実は偏差値よりも年齢(若さ)を優先する傾向があったのです。

具体的には、現役の大学生(の合格者)が優先されていました。
例えば、25歳の早慶出身よりも大学4年生のMARCHを採る、といったところです。

人が余っている中で、大学卒業まで給与を払わなくてよいからです。

ということは、学歴(偏差値)よりも早く受かることが大切、ともいえるでしょう。

クライアントからリクエストがくることも

意外に思えるかもしれませんが、就職や社内評価とは別にクライアントが何らかの要求をしてくることがあります。

典型例の一つが(私立学校の)学校法人監査。
筆者が真っ先に直面したケースです。

例えば、A大学の監査は、A大学出身のOB会計士に担当してもらいたい、こんな感じです。
でも、こうしたケースはそれほど違和感はないと思います。

あるいは、ミッション系女子大学などの女子校の監査では、(学歴ではないですが)「現場はできれば女性会計士にやってもらいたい」なんてリクエスト(お願い)もあったように記憶しています。

さらには、クライアントが、現場担当の会計士のプロフィールを事前に知りたい、と言ってきたことも。

給与情報をはじめ会社の機密情報等に触れる他、色々と微妙なこともあるので、クライアント側からしたら懸念材料になり得るのです。

とはいえ、今の時代、それが学歴差別につながることは考えられません。
あくまでもクライアント側の関心事にとどまるはずです。

以上、都市伝説ともいえる会計士と学歴のお話でした。

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まとめ

公認会計士と学歴について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

再度、結論を示すと、基本的に公認会計士には学歴は関係はないということになります。

学歴を気にするよりも、正しく勉強して早期に会計士試験に合格することが、今後の人生にとって遥かに有益です。

先ずはそのことに尽きるでしょう。
学歴に自信がない人も全く気後れする必要はありません。

ですので、会計士を目指そうと思っている人は、学歴のことはこのくらいにして、未来に目を向けて前向きに取り組んでいきましょう。

受験生の皆様につきましては、一日でも早い合格をお祈りしています。

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