公認会計士のスクール・予備校おすすめ5校を体験談も交えて徹底比較

「不合格を予備校のせいにするな!」

いきなりで大変恐縮ですが、公認会計士試験の合格発表時に(合格を祝う声の陰で)聞こえてくる文言です。

この辛辣な文言、一見すると「どの予備校で勉強しようが必ず合格できるはず」とも受け取れます。

でもそれは少し不正確。

正しくは「どの予備校からも必ず合格者は排出されている」です。
言い換えれば、合格者は排出されたとしても、あなたにそこが合うかどうかは別の話ということ。

実質的に同じ情報であっても、講師や教材(との相性)によってはうまく伝わらなかったり、正しい理解・正しい勉強法に至らなかったりするものです。
しかも実際には予備校ごとに特徴やカラーが色濃く表れています。

そこでこの記事では、公認会計士のスクール・予備校のうち、おすすめの5校を厳選のうえ比較していきます。

ちなみに筆者はCPA会計学院、TAC、大原、LECについて受講経験があります(CPA会計学院は体験受講を通じて、TACとLECは弁理士試験でもお世話になりました)。

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:公認会計士・税理士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営

目次

公認会計士のスクール・予備校おすすめ5校はここ!

最初におすすめのスクール・予備校5校を大まかに比較してみます。

公認会計士のスクール・予備校<厳選5校>
  • CPA会計学院
  • TAC
  • 大原
  • LEC
  • クレアール

大まかに比較

スクロールできます
CPA会計学院TAC大原LECクレアール
合格者数606410334非公開非公開
講師5443.53.5
教材544.54コンパクト
通信対応ありありありあり通信のみ
フォロー体制53.5543
料金高め高め高め安めやや安め

・合格者数は2022年についてです。
・数字は5段階の相対評価です。
追記:CPA会計学院の2023年合格者数は786名

筆者が受験生の頃は、TACと大原が中心でしたが(他に東京商科学院というのがあった)、今は状況が変わってきました。

かつては比較的マイナーだったスクールが急成長を遂げて、受験業界の様相が変わってきています。

もちろんWeb等の通信環境が整ってきたのもありますが、大きな要因の一つが講師陣の異動です。

講師の先生方が引退されたり、実務に専念されるようになったり、さらには他のスクール等に移られることもあります。

もちろん若い優秀な先生方が登場し、受験界に新しい風を吹き込んいくこともあるはずです。

ですので一応の目安を挙げさせていただきましたが、今後も状況が変わっていくことは十分予想されます。

料金について

初学者コース経験者コース
CPA会計学院70万~90万30万~50万
TAC80万~90万40万~50万
大原約80万30万~50万
LEC約30万~20万~40万
クレアール50万~70万20万~50万

料金についてはスクール・予備校ごとに幅があるだけでなく、内容や学習期間、学習経験の有無等によって変わってきます。

例えば初学者コースなら、1.5年コースだと低めになる一方、2年コースを選択すると、当然ながら料金は高くなってきます。

また、経験者については、短答からやり直すのか、論文に集中するのか、さらには答練に特化するのか、などによっても変わってきます(※経験者でも基礎からやり直す場合は初学者コースの料金にかなり近づきます)。

全体的な料金についての比較は次の通り。

CPA会計学院、TAC、大原>クレアール>LEC

高い方の3校で80万~90万、クレアールで50万~70万、安めのLECで(一発合格できれば)30万円余りで済む、といった感じです(初学者コースの場合)。

ただし、実際には一発で合格する人は少数派で、受験回数を重ねれば100万、130万…などと出費がかさむことも少なくありません。

またダブルスクールの場合は大学等の学費と重なるため、出費は実質年間100~150万円以上となることもあり得ます。

(初学者が)90万円を出費すれば必ず会計士になれる(合格が保証される)、というわけではないのでご注意を!

公認会計士のスクール・予備校とはこんな感じ

ここで公認会計士のスクール・予備校について簡単に触れておきます。

どのスクールも全くの初心者から講座を用意していますので(大学等での専攻を問わず)あらゆる人が勉強を始められます。

また、カリキュラムは基本的にインプット(知識の理解・習得)とアウトプット(答案練習や模試)に分かれ、学習の後半になるにつれアウトプットの比重が大きくなります。

さらに予備校によっては短答と論文のカリキュラムを分離しているところもあります。

なお、受講形態としては通学講座(生講義)の他に通信講座が用意されていています(今日では殆どのスクールでWeb等のデジタル体制を整えています)。

注:クレアールは通信講座のみ。

各スクール・予備校の特徴とメリット・デメリット

注:以下の紹介順序はランキングや優劣を示すものではありません。
また各講座・コースにお申し込みの際は、料金・内容を公式案内等で必ずご確認ください(※表示のコース料金は一例です)。

CPA会計学院

合格者の実績数が圧倒的に多い
講師陣と教材がとても優秀

🍀メリット

  • 実績(合格者数)がスゴイ
  • 講師陣・教材の質が非常に高くサポート体制もしっかりしている

♠デメリット

  • 校舎が新宿、水道橋、早稲田、日吉、大阪梅田の5校に限られる
  • 学費が高め

まずCPA会計学院と言ったら、講師陣の素晴らしさです。

受験業界では講師陣の異動はよくあるのですが、この陣営には筆者も正直、驚きました。
やはりスクールの命は、実績とともに蓄積されていく受験指導ノウハウと講師陣の質です。

また講師陣と並んで大切なのが教材・テキスト類です。
CPA会計学院のテキストはわかりやすさと効率性のバランスがとれています。

CPA会計学院のテキストでは出題可能性をABCにランク分けしているため、強弱をつけて勉強できます。
例えば出題可能性の低い箇所を割愛して、その分、基本を完璧にすることもできます。

なお、テキストが分厚過ぎる(量が多すぎる)との指摘もありますが、CPA会計学院のテキストは図解を多めに載せてあるため、そのようになっています。
やってみるとわかりますが、かなりのペースで読み進めていけるでしょう。

デメリットで気になるのが、校舎の数です。
地理的に難しい方はどうしても通信講座に頼らざるを得ません。

ただしCPA会計学院の通信講座はデジタル対応が整っており、特にインプット面での心配はなさそうです。

対面でのサポート体制が気になる方は、資格スクール側に相談するか、他校も検討するとよいでしょう。

コース料金例
  • 2年スタンダードコース(短答2回対応):860,000円
  • 上級論文マスターコース(論文):350,000円

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TAC

公認会計士試験に特に強い老舗予備校の一つで、長い間の伝統と実績あり
2006~2022までの論文試験合格者実績は9,717名

🍀メリット

  • 公認会計士試験に合格した多数の講師陣で構成されている
  • 合格に必要な情報はテキストに全て集約されている
  • 母集団が多い

♠デメリット

  • 料金が高め
  • カリキュラムが人によっては厳しく感じられるかも
  • 質問コーナーが1日3~6時間と限られる

TACの講師陣は全員が会計士試験合格者です。
この点、講師の質は最低限確保されていると言えるでしょう。

また講師の人数も多く、例えば財務会計だけでも30名以上いらっしゃいます(TACホームページで確認しました)。

しかも多くの講師が豊富な実務経験を有しています。
例えば監査論などで実務っぽい問題が出題されますが、この辺りについてもわかりやすく解説してもらえます。

ただし実務家であるせいか、講師への直接の質問・相談は1日3~6時間と限りがあるようです。

あと、TACの大きなメリットであるのがスケールです。

予備校の規模(母集団)が大きいのは、競争試験では重要なファクターとなります。

答練や模試を通じて自分の相対学力を知ることは(競争試験を勝ち抜くうえで)不可欠ですが、
母集団が大きいことはその前提となります。

他方でカリキュラムが結構タイトであるため(答練の数も多い)、分量は少なめがよいという人には厳しいかもしれません。

コース料金例
  • 2年L本科生:790,000円
  • 論文専攻上級本科生:378,000円

資格の学校TAC<公認会計士>各種コース開講

大原

ここもTACと並ぶ会計士の伝統校で受験指導のノウハウが素晴らしい
講師も親切かつ丁寧

🍀メリット

  • 講義・教材の質が高い
  • 講師が常勤していてサポートが厚い
  • 答練の質が高く、特に計算科目が充実している

♠デメリット

  • 料金は高め
  • 全ての講師が公認会計士試験合格者とは限らない
  • 教材等の網羅性がある反面、全て完璧にしようとすると消化不良になる恐れ

大原はTACと並び伝統と実績があります。
近年は比較的地味なイメージの大原ですが、ここは本当に講師の方々が懇切丁寧でわかりやすく、テキスト等もしっかりしています。

特にCOMPASS(大原のオリジナル教材)には長年のノウハウが凝縮されていて定評があります。

また、有難いのが講師が常駐していること。

例えば、筆者は当時、論文の書き方がわからず(悲惨な点数の)自分の答案をもって講師室の門を叩いたものです。
その際は、講師の方が丁寧にワンツーマンで指導してくださり、それが実力につながっていきました。

次にデメリットについて。

講師の方は必ずしも会計士試験合格者とは限りません。
実際、筆者の頃はベテラン受験生(さらには受験を諦めた方)も教えていました(ただし教え方に問題はなく、個人的にも資格の有無は気になりませんでした)。

また、大原のテキストについてですが、網羅性の観点から一通りのことが書かれてある一方、これを全てマスターしようとしたら消化不良を起こします。

そこで筆者は隅々まで読むことはせず、理解のための補助として、あるいは辞書的に活用していました。

コース料金例
  • 2年初学者合格コース:780,000円~
  • 上級論文総合合格コース:399,000円

LEC

受験指導歴の長い伝統校
料金が安い

🍀メリット

  • 授業料がとにかく安い
  • 短答と論文でカリキュラムが分けられていて効率的に勉強できる

♠デメリット

  • 近年、一部の有名講師が去り、以前ほど講師陣を売りにすることが難しくなった
  • もともと法律が強いため、会計は相対的に厳しいところがあるかも

筆者がお世話になった頃は有名講師陣がそろっていましたが、
現在は、残念ながら、当時に比べると…

ですが優秀な講師はいらっしゃいますし、講義や教材もよくできていると思います。
決して上で紹介したスクールに極端に劣るものではないでしょう。

LECで特筆すべきは料金の安さ。

他校と比べて遜色ない受験サポートを、この料金で提供できるところは他にありません。

会計士試験は長期戦になりかねないところ、できるだけ安く済ませたい方にはオススメです。

なお、短答と論文でカリキュラムを分けているところも注目です。

特に(勉強の前半で)短答に集中していくやり方は、例えば(社会人などの)時間があまりとれない方には向いていると言えます。

コース料金例
  • 短答合格コース:278,000円
    加えて対象試験に一発合格した場合、論文コースは50,000円
  • 論文式試験対策コース:268,000円

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クレアール

非常識合格法を掲げ、ユニークな指導法を取っている(しかも通信講座に特化)

🍀メリット

  • 効率を重視した勉強ができるため、消化不良を起こさないで済む
  • 通信講座に特化のため(間接費がかからないため)料金は安め

♠デメリット

  • テキストは比較的薄く、不安に感じるかも
  • 向き不向きがはっきりでやすい

とてもユニークなのが、このクレアールです。

非常識合格法(例:得意科目を伸ばすよりも不得意科目をつくらないこと、難しいことに取り組むより基本を完璧にすること、など)を掲げています。

その辺りが講座にも反映されており他校に比べテキストはコンパクトなつくりとなっています(他方で情報量の少なさに心配になる人もいるかもしれません)。

ただし、実際にはこれだけでもマスターするのは大変なもの。
むしろ必要十分な箇所についての取捨選択をスクールの方で初めからやってくれているとも受け取れます。

心配な方は(他流試合もかねて)他校の模擬試験や答練を受けてみるとよいでしょう。
個人的にはそれで十分かと思います。

もう一つ不安なのが通信講座のみのため質問や相談に対するサポートがどれだけできるか。
他校に比べ安さの裏面がでてこないか心配する人もいるかもしれません。

もっともフォロー体制については電話やメールのほか、ネット(スカイプ使用)でも受け付けていますので、それほど心配する必要はないでしょう。

総じて(よく言われるようですが)クレアールは向き不向きがはっきりでやすいのではないかと思います。

どちらかと言えば、特に効率重視で、かつ一人でドンドン勉強を進めていきたい人に向いていると言えます。

コース料金例
  • 2年スタンダード合格コース:540,000円
  • 上級論文合格コース :285,000円

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実際に会計士のスクール・予備校を体験してみて

筆者のスクール・予備校経験からザックリ感想をまとめておきます。

CPA会計学院講師・教材は現時点で最強(特にインプット)
TAC答練・アウトプットでは相当鍛えられる
大原伝統的に講師が大変親切で当たり外れが少ない
LEC講師の流出に左右されがちな一方、法律系の科目に強い(企業法、租税法)
クレアール通信のみのため、自分に厳しく一人で勉強する人向き

スクール・予備校で最も大切なのは講師陣です。
その講師陣は予備校間での異動が頻繁なので、それに応じて予備校のアドバンテージの度合いが変わってくることは否めません。

各講師自らがオリジナルテキストを作成している場合などは尚更と言えるでしょう。

対して(講師ではなく)スクールとして確固たる方針のもと、講師が変わっても質をキープできるところもあったりします。

あくまでも筆者個人の感想ですが、

CPA会計学院は特に講師陣とテキストが群を抜いており、それが今日の圧倒的な合格者数の実績を築いているのだと思います。

他方、この点でLECはやや厳しいと言えます(ただし企業法や租税法などは、法律に強いスクールとしての強みがあります)。

TACや大原は簿記・会計の伝統校であり、予備校としてのアドバンテージが確固たるものになっています。
もちろん有名講師もいますが、講師の異動による影響は少ないと感じています。

上でも触れましたが、特に大原はとにかく講師が親切であったこと。
これは今でも変わっていないと思います。

ですので、大原を希望される方には(対面でのサポートを受けられる)通学講座をオススメします(校舎も全国に展開しています)。

なお、答練等のアウトプットですが、TACの「アクセス答練」が個人的には素晴らしかったです。

特に会計士試験ではアウトプット(特に計算科目)が合否を大きく左右するため、やはりTACのアドバンテージは強いと思いました(ただし分量が多く気合が必要です!)。

公認会計士のスクール・予備校を選ぶ基準は?

ここではスクール・予備校を選ぶ基準とその注意点を確認していきます。

  • 講師の質
  • 教材・テキストの質
  • 予備校の母集団の大きさ
  • フォロー体制
  • 通学講座か通信講座か

講師の質

まず講師の質についてです。

基本的には公認会計士試験に合格しているかどうか、が一つの基準となります(この基準を厳守しているのがTACです)。

ですが、注意したいのは(会計士試験合格が)絶対のものではないこと。

計算科目や監査論はともかく、
こと企業法と租税法に関しては会計士試験合格だけでは正直きついのでは、と個人的に思います。

やはり司法試験や税理士試験に合格していることが本来は望ましいと言えるでしょう。

ですので資格の有無でいえば、この2科目は会計士というより弁護士や税理士が適任ということになります。

さらに言えば、教えることと試験合格は別物、ということもあったりします。

教材・テキストの質

教材・テキストについて。

テキストは網羅性を重視するのか、効率性を重視するのか、のバランスがむずかしいところです。

例えば、大原では網羅性+わかりやすさを重視しているのに対して、クレアールは効率性重視のように感じました。

前者の場合は、テキスト中心の学習は非効率的になりがちなので、レクチャー理解の補助として(あるいは辞書的に)活用するとよいでしょう。

母集団の大きさ

次は母集団の大きさについてです。

個別のスクール紹介でも触れましたが、これがある程度ないと自分の相対的な学力がわかりませんし、
最悪、力の入れどころを誤るリスクすらでてきます。

例:皆ができないところ、つまり合否に差がつかないところに時間をかけてしまうなど

フォロー体制が確立しているか

フォロー体制については意外と見落とされがちです。

ひとつの目安は、疑問点等について自分に合った講師やスタッフに気軽に質問できるかどうか。

この体制が整っていないと(人によっては)疑問点が放置されがちになりますが、これは大変マズいです!
その場で解決しておかないと殆どお蔵入りとなってしまいます。

メールや電話等でも応じてくれますが、結構面倒だったりします。

通信講座と通学講座の違いを理解している?

通信講座と通学講座の違いを簡単にまとめておきます。

差異が生じやすい項目通学講座通信講座
質問や悩みなどに対するフォロー〇~△
答練の効果〇~△
勉強の進め方の自由度〇~△
受験仲間の作りやすさ◎~○△~×

やはり通信講座の場合は自由がきく分、スクール・予備校との間に距離が生じやすいです(特にフォロー体制)。

また受験仲間が欲しい人には通信講座は厳しいかもしれません(ただし予備校によってはバーチャルスクールを設置しているところもある)。

さらに両者の違いで最も差異が生じやすいのが答練受講について

どうしても(自宅受講の場合は)会場受験の場合と比べ臨場感が薄くなってしまうのです(例:緊張感に慣れることや時間厳守など)。

クレアールの紹介でも触れましたが、一人でもドンドン勉強していける人、自分に厳しくできる人(さらには地頭が良い秀才タイプ)などは問題ないでしょう。

資料請求は無料でとっても簡単!

あとがき~筆者も結構、苦労したよ~

最後に筆者の予備校ホッピング(体験談)について触れておきます。

筆者は合格までに時間がかかってしまい、3年近く費やしました。

中でも計算科目(特に簿記分野と原価計算)が大の苦手。
2年目の模試ではそれこそ1500人中、後ろから2~30番くらいだったでしょうか(点数で3割取れてません)。

そこで思い切って予備校を変えたところ、(今でも覚えていますが)逆に1500人中16番へ。
目からウロコが落ちる思いでした。

今から思えば、勉強のコツがつかめず、無駄に時間や労力を浪費していました。

安易な予備校批判は慎重にしたいところですが、やはり(予備校との)相性はあるのだと痛感しています。

以上、ぜひ参考にしてみてください。

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