企業法の勉強法【公認会計士試験・科目別攻略シリーズ】

法律書

企業法の勉強では、公認会計士試験の中でも法律分野を本格的に扱っていきます。
言葉遣いが会計分野に比べ厳密になるうえ、法律と会計とでは頭の使いどころも違ってきます。

主に会計分野を勉強している受験生の中には、勉強しづらく感じる人もいるでしょう。
計算は得意だけれど、法律の方はどうも…なんて感じでしょうか。

でもこれって実にもったいない!
この科目、やり方次第で得点源にできるのです。

そこでこの記事では、公認会計士試験における企業法の勉強法を解説していきます。

なお、筆者は会計プロフェッションから法曹に転身した経験があります。
このため、法律の勉強法については、より本質に突っ込んだ解説ができるものと自負しております(特に論文)。

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:公認会計士・税理士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営

目次

企業法の勉強法①:短答編

体系と趣旨を踏まえたうえで問題演習を繰り返す

公認会計士試験の企業法の問題は、難問がなく典型的な良問が出題されます。

勉強量は多いものの、努力に比例して報われやすいといえるでしょう。
特に短答は差がつきやすく、できる人は9割以上得点していきます。

なので(欲張り過ぎに聞こえるかもしれませんが)短答の目標は8割以上の正解です。

勉強のポイントは次の2点。

  • 会社法等の法律の体系を踏まえながら、各条文の趣旨(なぜその条文があるか)を理解する
  • 短答用の問題集を繰り返す

具体的には、予備校の講義を受けつつ、その日のうちに復習します。

その際は、特に法律の体系と趣旨が短答・論文を問わず重要になってきますので、この点の理解が第一です。

前者の法律の体系は、個々の条文を勉強するときにも意識していきます。
それぞれの条文規定が、その法律全体の中で密接に関係しあっているからです。

例えば、取締役は株主総会で選任されますが(会社法329条1項)、
その総会って何?株主とはどんな人?なんて話が前提になっています。
こうしたことが取締役に関する論点につながっていくのです。

また、後者の条文の趣旨は論点の解決のカギとなるところです(論文の問題では必ずといってよいほど、ここに立ち返ります)。

確かに、実際に解答上必要になるのは論文ですが、趣旨は短答のうちからしっかりと勉強しておくべきです。
知識の定着や理解の深さはもちろん、企業法全体の勉強の成果が全く違ってきます。

さて、次の勉強のポイントが問題演習です。
ここが具体的な短答対策に該当し、実際に多くの時間を充てることになります。

予備校の講義の復習が終わったら、すぐに該当箇所につき短答の問題集に取り組んでいきます(でないと忘れてしまい非効率的です)。
また、問題に取り組んでみて、できなかったところや曖昧だった箇所はテキストで確認していきます(注:テキストは講義の復習のほかには、アウトプットのフォローに使います)。

これを繰り返すのです。

この反復練習を通じて短答試験の頻出個所や問われ方、ポイントが効率よく把握できます。
しかも、短答に必要な知識も無理せず定着していけるはずです(キーワード等の暗記は論文対策でやっていきます)。

以下で短答対策の定番問題集を紹介しておきます。

🍀公認会計士試験 企業法 早まくり肢別問題集

テキストの使い方には注意が必要!:
結論は、隅から隅まで読もうとしないこと。教材の中心は問題集となります。
テキストは問題演習のフォローのほか、授業の復習(主に法律の体系と趣旨の理解)に活用するのです。
あと、テキストをノート等にまとめ直そうとする人がいますが、ハッキリ言って時間の無駄です!

条文(集)に対する取り組み方について<参考>

条文(集)の必要性についてコメントしておきます。

論文試験では条文を参照(確認)していくことになります(試験本番では条文集だけが頼りです!)

条文(集)はテキスト等に書いてあるから不要、との意見があります。
確かに短答だけでしたら、必ずしも条文集を参照する必要はないかもしれません。

ところが、いざ論文対策に入ってから見ていこうとしても、なかなか戸惑うもの。
慣れてないと上手く活用できませんし、条文自体を探すのもひと苦労だったりします。

なので日ごろから少しづつ条文(集)に馴染んでいくことをお勧めします。
できれば条文を参照した際に、論点や趣旨が思い浮かぶぐらいになっておきたいものです。

企業法の勉強法②:論文編

論文の勉強のポイント

法律の勉強らしさを感じるのは、実際はここからでしょう。

勉強のポイントは次の3点。

  • 法律の趣旨、意義、論点、学説や判例を覚えること
  • 論文の答案の書き方をマスターすること
  • 自分で論文答案を書いてみる(答練を受ける)

論文では(短答と異なり)自分でゼロから答案を書いていかなくてはなりません。
しかも、法律では専門用語や特有の言い回しが求められます。

なので、条文の趣旨や各意義、論点や学説の暗記は必須となります。
特に関連するキーワードや言い回しは正確に暗記のうえ、答案で再現できるようにします。

また、論文の勉強の流れとしては

条文や意義→趣旨→要件→論点と条文解釈(または判例)→効果

などとポイントを押さえていきます。

基本中の基本!事例問題の答案構成の流れ

論文の答案には然るべき書き方があります(特に事例問題)。

これに関する知識なしで答案に向かうのは、武器を持たずに戦いにいくようなもの。
単に趣旨や学説を覚えただけでは論文は書けません。

そこで先ずは典型的な事例問題を通じて、どのように法律の答案を書くのか学習していきます。

注:(今日ではあまり出題されませんが)いわゆる一行問題(説明問題)は上で述べた「論文の勉強の流れ」を応用すればよいでしょう。

以下では、その答案構成の例を示しておきます(かなり応用がききます!)。

STEP
条文とともに問題の所在を指摘

問題文の事例を検討しながら、何条の問題であるかを示します。
例えば「本事例では○○条が適応できるかが問題となる
あるいは「本事例の~の部分が、○○条の要件である「×××」に該当するかが問題となる」なんて具合です。

注意:このSTEP1で検討すべき条文や論点を外してしまうと、点数が取れなくなってしまうので慎重に!

STEP
要件とその解釈

上で指摘した条文の要件(これがすべてそろうと、条文が働きます)を示したうえで、
その条文の趣旨などから、要件の文言を解釈してやります
ここでインプットした趣旨や学説、判例を使っていきます。

STEP
事例を要件に当てはめる

さあ要件がそろったので、問題の事例を丁寧かつコンパクトに当てはめていきます。
これが簡単なようで難しい!ここを中心に答練で訓練していきます。

STEP
結論

要件の充足の可否がわかったので結論にいきます。
大切なことは、必ず問いにストレートに答えること。
もし設問で「できるか」と問われていたら、「できる」または「できない」を明確にします。

ご覧の通り、暗記と思考、そして論述のすべてが必要になってきます。

これが法律の勉強です!

何が出題されても勝ち残るために~企業法の勉強の真髄とは~

会計士試験では(司法試験と異なり)とにかく様々な科目を勉強しなくてはなりません。
特に会計学を中心に計算科目があったりで本当に大変です。

どうしても効率重視でテクニカル的にならざるを得ない部分もあったりします。
結果として企業法といえども、ある種の(問題・解答を活用した)パターン学習は避けられないところです。

ですが、どうしても忘れてはならないことがあります。

それは事例問題などで

どうして問題になるのか?

という意識や視点です(先の答案構成のSTEP1に該当します)。

例えば、
(当たり前ですが)すべての事案が条文に書かれているわけではありません。
そのままでは、その各事案が条文の要件に当てはまるのか、わからないのです。

また、原則(民法など)で考えると不都合なことが起こったり、会社法等の条文を文言通りに当てはめると、オカシナ結論になってしまったりすることがあります。

だから問題となるのです。

そこで、
(民法に対する)特則である商法をもって来たり、条文の趣旨に立ちかえって解釈や修正をしたりして、妥当な結論を導いていきます(趣旨が大切なのはこのためですし、判例や学説もこれを踏まえています)。

このような視点(問題意識)を企業法の勉強では持っていただきたいと思います。
どんな出題がされても、答案が題意(出題の意図)から大きくズレてしまうことは避けられるはずです。

やってはいけない論文の勉強法:
上で述べた通り、ある程度、模範解答の流れやパターンを真似するのは仕方ないと思います。
でも避けたいのは、全く考えずに、そのパターン化した知識を答案用紙に吐き出すようなこと。
あるいは、問題文を自分の知っているパターンに勝手に置き換え、論点や趣旨に関する知識を書き並べていくこと。
自分では書けた気になっても、おそろしいほど点数はつきません。

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まとめ

企業法の勉強の進め方について解説してきました。

簡単にまとめますと次の通りです。

  • 法律の全体像と趣旨を理解する
  • 短答では問題集を繰り返す
  • 論文では法律上の問題点を考えながら論述の訓練をする

繰り返しになりますが、企業法は分量は多いものの、正しく勉強すれば得点源にすることができます。

実務でも重要なので、皆様もぜひ得意科目にしてみてください。

最後になりましたが、
皆様の一日でも早い公認会計士試験の合格を願っています。

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