監査法人の年収を徹底解剖!3つの監査法人経験者が解説します

高額紙幣とクレジットカード

試験合格者も含めて、公認会計士の多くが監査法人に勤務します。

そうした中でも特に気になるのが、その監査法人の年収でしょう。

実は、一般的に高給取りとされる会計士ですが、監査法人の年収体系はある程度決まっています。
最初は高収入に思えるのですが、実は…

そこでこの記事では監査法人の年収にズバリ迫ってみたいと思います。
併せて大手と中小を比較してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:公認会計士・税理士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営

具体的な年収の数値については、筆者の経験を踏まえつつ、かつ、実際の求人データ等を適宜加味しながら解説していきます。

目次

大手監査法人の役職と年収

勤務会計士の平均年収は747万円、というデータが公表されています(厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)。

このデータは一つの参考にはなるものの、(勤務税理士などの)監査法人勤務者以外の年収が含まれているため、監査法人の年収そのものを表しているとは言い難いでしょう。

そこで以下では、大手を中心に監査法人の年収に焦点を当てていきます(注:以下の年収は転職エージェント「ジャスネットキャリア」のデータに基づく)。

スタッフ:450万~600万円

勤続年数の目安:1年目~

試験合格者は、まずはこのスタッフとして個々の実務を学んでいくことになります。
具体的には、クライアントの現場にて、担当する勘定科目につき証拠収集や調書作成を行うのです。

年収についていえば、同年齢のサラリーマンと比較し、その給与の高さにびっくりする人が多いのではないでしょうか。

あの苦しい会計士試験に耐え抜いた甲斐があった!と実感できるはずです。

シニアスタッフ:600万~850万円

勤続年数の目安:4年目~

シニアスタッフは、主査とかインチャージなどと呼ばれますが、現場作業を取りまとめたり、スタッフ達を指導監督します。
年齢的には20代後半から30歳くらいまでが多く年収は1,000万円台まであと一歩というところ。

ある意味、会計士人生で最もキラキラ輝いている時期かもしれません。

若くて高給取りでハイステータス。
結婚相談所のパンフ等で理想のパートナーとして取り上げられるのもこのクラスですね。

マネージャー:900万~1,200万円

勤続年数の目安:7年目~

マネージャーまでくると、いよいよ年収1千万円の大台が見えてきます。
年齢的には30代前半と言ったところ。

このマネージャークラスですが、管理職に当たるため(実務だけでなく)法人のマネージメントにも本格的に携わります。
また、パートナーと現場との橋渡し役(あるいは会社との具体的な調整約)をしたりもします。

よく言われていることですが、実はこのマネージャークラスがとても大変です。
役職の性格上、残業が多いのですが、(年俸制に移り)残業代がでないのです。

事務所の中でも最もしわ寄せがくると言ってよく、ワークライフバランス的にもキツイと言えるでしょう。
会計士の仕事に閉塞感を感じ始めるのも、この頃から?

パートナー:1,500万円~

勤続年数の目安:15年目~

そしてパートナー(雲の上の人たち)。
経営者兼出資者です。監査業務上、監査報告書にサインする責任者でもあります。

また、法人のマネージメントに限らず、対外的な営業なども積極的に行っていきます。

存在感は、それまでのマネージャークラスまでとは別格です。
年収は1,500万円からですが、上は実質青天井に近いと言ってよいでしょう。

ただし、その責任の重さは想像を絶するものがありますし、他にも人知れぬ苦労が付きまといます。

筆者が監査法人に出入りしていた頃は、希望すれば基本的に誰もがパートナーになれました。
ただし、当然ながら、ウマい話ばかりではありません。
彼らと話すことがありますが、結構、愚痴を聞かされます(連日、夜も寝られない、などと言っていた)。
独立組の筆者には(いくら年収が高くても)とても務まらない、と痛感しました。

大手監査法人の年収についての全体的な印象

全体的に監査法人の年収は高めです。
1,000万円も現実的に十分手が届きます(年齢でいえば30代前半、役職にするとマネージャークラスにて)。

ただし注意すべきところもあります。

それは、

入所から早い時期(10年内)の年収が高めである一方、マネージャークラス以降は伸び悩むこと。

パートナー昇進が大変狭き道であるため、(監査法人に居続ける限り)年収は1,000万円余りで頭打ちになりやすいのです。

早ければ上で述べた段階で(30代・マネージャークラス)、上場企業(特に金融機関や商社など)勤務のビジネスマンたちに抜かれ始めます。

CPAがキャリアに行き詰りを感じ始めるのもこの頃が多そうです。

ちなみに独立のきっかけ一つは(自分の給与が)クライアントの従業員たちに抜かれること。
人件費等の具体的なデータを目の当たりにして、「給与で負けた(?)」ことを実感するのです。

監査法人の年収実態

ここからは、実際の年収データを見ていきます。

上では大手監査法人を念頭に置いていましたが、ここからは中小も含めた監査法人全般について幅広く取り上げてみたいと思います。

今回の年収リサーチで活用した求人サイトは次の通りです。
・マイナビ会計士
・MS-Japan
・ジャスネットキャリア
・レックスアドバイザーズ

※年収範囲の役職は、スタッフから(シニア)マネージャークラスが中心です。

監査法人全体

年収範囲の平均531万~1,030万円
上記範囲の中間781万円
最安値300万円
最高値1,500万円
サンプル件数104件(※)
参照求人サイト:マイナビ会計士・MS-Japan・ジャスネットキャリア・レックスアドバイザーズ

※提示された年収上限につき、1,000万円以上は104件中67件

監査法人の年収は先ほどの役職に沿う形で決まってきます。

主な特徴としては、特に早い時期(入所10年内)の年収が比較的高め、ということです。
一般的な会社員をしていたら、入社7~8年で(30代前半で)1,000万円など、なかなか考えつかないものです。

もちろん全体的に見ても、平均的なサラリーマンに比べ高額です。
上の数値はそれを反映していると言えます。

ただし、(パートナーを除き)天井は決して青くはないのは先に述べた通りです。

大手監査法人

次に大手、準大手、中小等と、更に詳細に見ていきます。

年収範囲の平均542万~1,096万円
上記範囲の中間819万円
最安値400万円
最高値1,500万円
サンプル件数52件(※)
参照求人サイト:マイナビ会計士・MS-Japan・ジャスネットキャリア・レックスアドバイザーズ

※提示された年収上限につき、1,000万円以上は52件中39件

大手監査法人の年収は(下記の)中小法人に比べて高めです。

また、年収範囲の中間値(大手では)819万円は、凡そシニアスタッフ(入所5年くらい)に該当します(以下同じ)。

準大手監査法人

年収範囲の平均568万~1,008万円
上記範囲の中間788万円
最安値450万円
最高値1,250万円
サンプル件数10件(※)
参照求人サイト:マイナビ会計士・MS-Japan・ジャスネットキャリア・レックスアドバイザーズ

※提示された年収上限につき、1,000万円以上は10件中5件

準大手とは、大手に準ずるという意味ですが、年収もあまり大手と変わらない印象です(中間値にして約800万円です)。

人員数やクライアント数などの規模だけを見ると、BIG4との間に開きがありますが、業務の細分化状況や体制は中小に比べて大手寄りと言えるでしょう。

中小監査法人

年収範囲の平均510万~955万円
上記範囲の中間732万円
最安値300万円
最高値1,500万円
サンプル件数42件(※)
参照求人サイト:マイナビ会計士・MS-Japan・ジャスネットキャリア・レックスアドバイザーズ

※提示された年収上限につき、1,000万円以上は42件中23件

大手に比べ、年収は全体的にやや低めでした。
特に初任給からスタッフクラスの年収にその傾向があるようです。

筆者の勝手な想像ですが、要するにこのポジションは、丁稚奉公の身分(カバン持ち?)なのです。

もちろん、クライアントからの報酬との兼ね合いで、そうなることも否定できないと思います。

金融・財務アドバイザリー関連(参考)

大手監査法人を中心に、金融事業部や財務アドバイザリー部門のデータを拾ってみました。

年収範囲の平均631万~1,193万円
上記範囲の中間912万円
最安値400万円
最高値1,500万円
サンプル件数15件(※)
参照求人サイト:マイナビ会計士・MS-Japan・ジャスネットキャリア・レックスアドバイザーズ

※提示された年収上限につき、15件全てが1,000万円以上

こちらは、監査法人の中でも特に専門性の高い業務に該当します。

クライアントが金融機関であることや、サービス内容がFAS等であることから、全体的に年収は高めです。

監査法人の年収ランキング

これまでのデータを活用しながら、監査法人の年収をランキングしておきます。

順位監査法人の区分年収
1位大手監査法人・パートナー1,500万円
2位大手監査法人金融・FAS部門912万円
3位大手監査法人(マネージャー以下)819万円
4位準大手監査法人788万円
5位中小監査法人732万円
右側の年収は、年収範囲の平均の中央を採用しています。

結果は一目瞭然。
大手法人のパートナーがダントツです!(しかもこれで最低ラインです)。
それに続いて、大手の金融・財務アドバイザリー部門が続く結果となっています。

また大手監査法人の年収>中小監査法人の年収、です(注:非常勤の時給ベースだと事情が変わってきます~後述~)。

それでも、(上位二つを除き)コンサル会社に見られるような大きな差異は認められません。

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※マイナビのプロモーションを含みます。

監査法人で年収を上げるには(昇給・昇進するには)

  • 上司(特にパートナー)の最初の印象に気をつける
  • クライアントの評価も重要
  • 仕事のスピードと正確性
  • 英語力をはじめ、自分だけの特技を磨く

どれもあまり説明は要らないと思いますので、簡単にコメントしておきます。

昔は、昇給や昇進はパートナー(あるいは所長)との相性で殆ど決まっていました(一部の中小事務所は今もそんな感じ)。

ところが今日では、状況が変わってきています。

「イエスマンはいらない!」あるいは「君の意見や考えを聞きたい!」というパートナーや上司が多くなっています。

互いのコミュニケーションを通じて、その人の仕事ぶりや勉強ぶり、さらには、考えながら仕事をしているか(それとも単に調書の数字を書き変えているだけか)などもわかってしまいます。

例えば、担当クライアントの有価証券報告書を読み込んでいるか、業界の勉強などを通じてクライアントの理解に努めようとしているか、などです。

こうした努力はクライアントの評価にもつながっていくものです。
「ああ、この先生、若いけど、本当にウチのことを考えてくれているな」といった具合ですね。

また、こうした印象・評価は最初が肝心!
特に第一印象というものは、(本人の知らない間に)あっという間に上層部に伝わり、アサイン(監査の人員配置)などに表れてきます。

あと大事なのが、仕事のスピードとPCスキル
これが備わっていないと、「できないヤツ」の烙印を押されかねません。

以上の点で頭角を現すことができ、かつ英語力があれば、パートナー候補にグッと近づけるはずです。

なお、選別は入所1年目の早い段階で始まっていることを付け加えておきます。

監査のパート時給と年収について(参考)

参考までに監査のパート時給について簡単に触れておきます。

結論的には、大手で時給5,000円、中小で7,000円が一応の目安です。

これ基に年収をシミュレーションしてみると次の通り。

大手監査法人
  • 時給単価@5,000円
  • 実働1日7時間として@5,000円×7H=35,000円(日給)
  • 年間200日稼働するとして35,000円×200日=700万円年収
中小監査法人
  • 時給単価@7,000円
  • 実働1日7時間として@7,000円×7H=49,000円(日給)
  • 年間200日稼働するとして49,000×200日=980万円年収

監査のパート時給については、大手よりも中小の方が高めです。

また(あくまで計算上の数字ですが)特に中小のパートで年収を稼ごうとすると、
大手のマネージャークラスに届いてしまいます。

ちなみに筆者は複数の法人で監査のパート経験がありますが、最高時給単価はナント@1万円でした!

最後に

監査法人の年収について解説してきました。

結論として、監査法人の年収は基本的に高給と言ってよいでしょう。
会計士資格に見合うものであり、勉強の元は十分に取れるものとなっています。

ただし、注意しておきたいこともあります。
それは、

あまり短期的な(目先の)収入の高低にばかりとらわれないこと。

会計士の年収は、若い頃は高いものの、直ぐに大きな壁が待ち構えているからです。
上手くパートナーまで行ければいいのですが、そこへ行くのは至難の業。

下手をするとキャリアアップのチャンスを逃すことにもなりかねません。

なので、皆様には、しっかり先を見据えながら会計士人生を謳歌してもらいたいと思います。

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得意分野公認会計士管理部門
士業
公認会計士
税理士
公認会計士
税理士
主な年齢層20代・30代20代~50代20代~40代20代・30代
設立(歴史)1973年1990年2002年1996年

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