弁理士に向いている人の特徴5つ|会社勤めが嫌な人は適性アリ?

弁理士に興味があるけど、自分は弁理士に向いているのだろうか?
せっかく資格を取っても、仕事が合わなかったりして…

こんな疑問や不安を抱える人もいるでしょう。

確かに弁理士業は専門性が非常に高く、一般的な会社の業務に比べ特殊である反面、つぶしがききづらかったりします。

「資格取得より実務を優先せよ」と言われるほど適性が厳しく問われるということです。

そこでこの記事では、弁理士に向いている人の特徴を徹底解説していきます。
特に実務未経験の方は参考にしてみてください。

この記事の執筆者について

主な経歴:
早稲田大学理工学部中退、慶應義塾大学経済学部卒
特許事務所→公認会計士・監査法人→特許業界復帰→弁理士→独立(特許事務所・会計事務所経営)

特許事務所を営む父親の長男に生まれる。
その関係もあって学生の頃から特許業務に従事。
ところがある日、急にビジネスの広い世界を知りたくなり、会計士業界に飛び込む。
父親の健康事情及び自身の適性を考慮して特許業界に復帰、その後、事務所を承継。

目次

弁理士に向いている人の特徴

独りでデスクワークをする

デスクワークが苦にならなず、独りで作業をするのが好き

弁理士の基本業務は明細書などの書類作成です。

しかも独りで作業をしていきます。
四六時中、パソコンを前に明細書をしこしこ書いていくのです。

複数の人とチームを組んで作業をしたり、ディスカッションして知恵を出し合ったりすることは基本的にありません。

仕事は各自単独で完結しますし、自分の頭の中だけで処理していきます。

あまり強調されていないようですが、実は人によってはコレがとてつもなく苦痛(地獄?)に感じられます。

特に、人と話すのが好きな人(特に接客業や営業職に向いている人)は、そうなる可能性が高いです。

この段階で「俺には無理!」となる人も少なくなさそうです。

情報収集・処理能力に優れている

特許では当然ながら最先端の技術を扱うことが多いです。

もちろん、中には案件が自分の専門分野とマッチしていたり、継続的な案件が中心で新しい知識は不要に感じる人もいるでしょう。

ですが、未知の技術や新規の発明を扱う以上、知っている事ばかりとは限りません(というより、用語も含めてゼロからひも解いていく、なんてことも少なくない)。

特に中小企業のクライアントなどでは、数枚の落書きのようなメモを渡され、「とにかくコレで何とかやってくれ」などと言われることもあります。
限られた情報を基に、自分で調べながら発明の内容を読み取っていくことが必要です。

また、単に情報収集できればそれで終わり、というわけではありません。
その収集した情報を、的確に処理してまとめていくことも求められます。

例えば(上のケースとは逆に)何百ページもの分厚い資料をクライアントから渡され、数日中に明細書の案を作成しなければならない、なんてこともあったりします。

勉強意欲や向上心がある

勉強が嫌いない人、活字が苦手な人は、残念ながら、弁理士は難しそうです。

上で述べたように、弁理士は自分の知らない事項、特に日進月歩の新技術を常に学んでいく必要があります。
いや、むしろ未知の事項や新技術こそ興味をもって積極的に勉強していきたいところです。

また忘れてはいけないのが、弁理士は法律家であること。
しかも役所への手続もしっかり対応しなくてはなりません。

特許法等の法令は毎年のように変わりますし、(法令ではありませんが)審査基準等も変更されることがあります。
訴訟では新しい判例がだされます。

特に法令や改正事項の見落としは(専門家としては)一発アウト!
クライアントの信用を瞬時に失ってしまいます。

弁理士試験がほんの入り口に過ぎないことがおわかりいただけるはずです。

つまり一生勉強していくのは、専門家の宿命のようなもの。
このように聞いて「メンドくせーなぁ」とばかり感じるのなら、専門職ではなく、別の職業に就いた方がよいでしょう。

ヒアリング能力が優れている

発明者インタビューを通じて発明の本質や潜在的な可能性を引き出すことは大切です。

広範囲の権利取得や発明の多元的な保護にもつながるのですが、それを担保するのがヒアリング能力です。

優れた弁理士は、質問を通じてクライアントにある種の気づき(閃き)を起こさせたりもします。
クライアント側は、具体的な実施形態ばかりに目が行き、発明の本質的部分に気づかなかったりするからです。

例えば、クライアントが天秤を発明したとします。弁護士バッジに描かれている”ハカリ”⚖ですね。

クライアントは「こんな風に皿を二つ用意して、一方に測る対象物を載せて、他方に重しを載せて…」と具体的に説明していきます。

これに対して弁理士は、「釣り合わなければどうするのですか」と質問したりします。

するとクライアントは「左右が釣り合うまで重しを調整し、釣り合ったところで重量を決定します」と答えたとします。

そこで弁理士は「ではその発明は、左右の対称性や左右の釣り合いを原理とするのですね」などと発明の本質部分を抽象化、一般化してやります。

こうしたことから発明が広がっていき、クライアントからも喜ばれます。

文章にて論理的に説明することが得意

弁理士は明細書などの書類を作成して特許庁に提出します。
特許などの権利を取得するためです。

ですがこれで終わりではありません。
この後、特許庁審査官などとの知的格闘が待っています。

例えば、特許の申請の際は、必ずと言ってよいほど特許庁からは「このままでは特許になりません」という通知が発せられます(拒絶理由通知といいます)。
そこで、これに反論したり、修正(補正)を加えたりして、何とか特許に漕ぎ着けようとするわけです。

ここでは基本的に書面を通じてやり取りしていくのですが、
問われるのが、文章にて論理的に説明する力です。

つまり文書を通じて相手の審査官を納得させたり説得したりできるか、ということです。

逆に言えば、先方(特許庁審査官)から一発食らったとき、「あー、そうですね。わかりました」と簡単に(素直に?)折れてしまうようでは仕事になりません。
クライアントからも「なんか、この先生頼りなさそう…」なんて思われてしまうでしょう。

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弁理士に向いていない人~こんな人はやめておけ!~

基本的には弁理士に向いている人の逆を考えてみればよいと思います。

ここではそれとは別に、弁理士に向いていない人について言及しておきます。

期限や言葉にルーズな人

弁理士の仕事は、期限管理が大変厳しいです。
料金納付をはじめとする各種手続の期限について、法令等で厳格に決められているものが少なくありません。

顧客の指定する納期はもちろんですが、これらの期限を徒過してしまうと取り返しのつかないことさえあるのです(特許が取れなくなったり、権利が消滅してしまったりする)。

また、明細書等の文言についても一字一句神経をとがらせる必要があります。

例えば、明細書の文言一つが侵害訴訟などで大問題になってきます。
発明の保護に穴ができてしまっていたり、特許の無効原因になったりするのです。

ですので手続の期限にしても、書類の文言にしても、ルーズな人は弁理士には不向きです。

金儲けだけが目的な人

これは他の専門職(例えば医師や弁護士など)にもいえることですが、金儲け(だけ)をしたくて弁理士になるのはやめた方がよいでしょう。

確かに現在稼いでいる弁理士の中には経営者タイプ(商売人タイプ)の方ももちろんいます。
ですが、それは先ずは弁理士の適性をクリアしてのこと。

最初から経済的な動機だけで取り組んでも、まず業務が続かないでしょうし、今日では弁理士は昔ほどには儲かりません(大手企業の一般的なサラリーマンの方が恵まれています)。

金を稼ぐだけでしたら、他にいくらでも職業選択の余地はありますし、わざわざ弁理士試験の勉強すること自体が時間や労力の無駄になってしまいます。

なので、弁理士資格を金儲けの道具とみるのではなく、むしろ金は後から付いてくるもの、ぐらいに考えた方がよいでしょう。

実は弁理士に向いている人はこんな人かも

会社のあちこちの部署に回されたり飛ばされたりするのが嫌な人

会社に勤めていればわかりますが、中途採用等の特別条件でない限り、同じ部署にとどまっていることは稀とえいます。
ビジネス社会では常に新しい風に当たり、変革していくことが求められるからです。

例えば理系出身の場合は、20代、30代のうちは研究開発等の部署で技術職をする方が多いと思います。

ですが、現役で技術職を定年まで全うできるのはむしろ少数派。
遅かれ早かれ、管理部署や営業部署等に回されます
(急速な技術進歩に伴い後進に道を譲るという意味もあります)。

他方で、そうした異動が嫌である、あるいは自分には合わない、という人もいるでしょう。
良し悪しは別として、人には根差した場所にしっかり腰を下ろして生きていきたいという本能もありますから。

ですので、配置転換させられた、とか、先々そうなりそうだ、という人で、それらが受け入れ難いと感じる人は、ぜひ弁理士への転身を検討してみてください。

特に会社というところが嫌でたまらない、そんな人にとって特許業界はピッタリの可能性大です。

一つの仕事に独りでじっくり専念したい人orポスドク

具体的言うと、学者・研究者タイプあるいは物書きに向くタイプの人、といえるでしょうか。
これまた理系出身者に多そうです。

これも上と同様、通常の会社勤めでは、とても生きづらい思いを強いられるかもしれません。

組織の中では日々の業務一つとっても、他者との連携やチームワークが避けられないからです。
そうした状況では人間関係にもいろいろと悩まされがちです。

こうしたことに前向きにいられれば良いのですが、本人の性格や適性が関係してくると、やはり厳しかったりします。

また、大学等で研究を30歳近くまで続けてきた人(ポスドクなど)も同様です。
研究機関等でずっと仕事を続けられれば良いのですが、そうでないときは職場環境を変えなければならないこともあります(特に経済的な事情が加われば尚更です)。

もちろんこうした人たちの中には、チームを組んだり他者との積極的な交流で成果を出していける人もいるでしょう。

でもそうした自信のない方は、自分に合ったスタイルで自身の専門性を生かしてみたいと思いませんか。

クライアントも事務所も、そんなあなたの専門性を求めているのです。

人嫌いで自分も嫌われ者

先ほど「弁理士に向く人の特徴」の中で「文章にて論理的に説明することが得意」であることを挙げました。

実は、この資質って意外と人に嫌われやすい側面があるのですね。

例えば、とにかく理詰めで対処しようとする(屁理屈をこねる)、あら捜しが好き、さらには条件反射的に反論したがる(論破好き)…

この類の人は、周囲からは素直でない、面倒臭い人と思われがちです。

もう一つの特徴である「独りでデスクワークをするのが向いている人」と合わせると、もしかすると

人嫌い”で、かつ自分も”嫌われ者”、

なのかもしれません。

ですがこのようなタイプの人は結構(本来の)弁理士に向いている気がします。

特に特許事務所というところは、人間関係は結構ドライで希薄なもの。
極端な場合、メンバーは互いに個人主義の変人同士である一方、距離を置いていれば害はないため、事務所は意外と居心地が良かったりします。

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最後に

弁理士に向いている人の特徴について解説してきました。

士業の中でも、弁理士は、その向き不向きが顕著に表れます。

また、士業の中でも最もサムライ色が強い専門職ともいえます。

さらに誤解をおそれずに言えば、(あの業務に目の色変えて取り組めるには)むしろ現代社会の不適合者ぐらいで丁度よかったりして…
もちろん、本来の弁理士の適性とは別に、それでは少し困るのですが。

いずれにしても、悩んでいる方、迷っている方は、ぜひご自身の適性とあわせて弁理士資格を検討してみてはいかがでしょうか。

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