弁理士試験の勉強時間と一発合格のスケジュールを解説!

弁理士試験は難しそうだが、合格するにはどれほどの勉強時間がかかるのだろう?

今回は、こんな疑問に答えていきたいと思います。

とにかく、社会人を中心に忙しい人にとっては、勉強時間の問題はもちろん、先々の人生プランもあるので悠長にはしてられません。
もう後がない、あるいは背水の陣、という人もいるでしょう。

そこで弁理士試験合格までの勉強時間をシミュレーションするとともに、一発合格を狙ったスケジュールも考えていきます。

ちなみに筆者は、短答・論文ともに受験2回目で合格しました。
つまりそれぞれ一度失敗を経験しているということ(しかも多くの受験生が陥りがちなパターンでもある)。
ですので、以下での解説は、失敗しないための(失敗や間違いを踏まえた)学習計画でもあります。

この記事の執筆者について

主な経歴:
特許事務所→公認会計士・監査法人→特許業界復帰→弁理士→独立(特許事務所・会計事務所経営)

特許事務所を営む父親の長男に生まれる。
その関係もあって学生の頃から特許業務に従事。
ところがある日、急にビジネスの広い世界を知りたくなり、会計士業界に飛び込む。
父親の健康事情及び自身の適性を考慮して特許業界に復帰、その後、事務所を承継。

目次

弁理士試験の勉強時間

合格までの勉強時間をシミュレーションしてみる

弁理士試験の合格率は6~10%の難関試験です。

しかも弁理士に必要な勉強時間は、一般的に

勉強期間で3~4年、勉強時間にして約3000時間

と言われています。

勉強期間が長期にわたるのは、受験生の約8割が企業や特許事務所等に勤務する社会人だからです。

この点を踏まえて勉強時間をシミュレーションしてみますと、

弁理士試験の勉強時間<シミュレーション>
  • 平日:1日2時間(通勤時間帯等のスキマ時間を除く)
  • 土日:1日5時間
  • 20時間/週×150週(約3年)=3000時間

などと見積もることができます。

1日当たりの勉強時間が少なく感じるかもしれませんが、社会人の受験勉強は想像以上に大変です。
急な顧客対応に追われたり、周囲との付き合いがあったりします。

つまり計画通りに進むとは限らないということです。

しかも時間面や肉体面だけでなく、メンタル面でも結構きつかったりします。
業務等で問題が生じれば(精神的にも)勉強どころではなくなるかもしれません。

こうした点を考慮しないでタイトな計画を立てると、挫折してしまったり、計画崩れの場当たり的な勉強になってしまいます。

なので、まずは勉強時間は、決して無理をせず、むしろ余裕を持たせることがポイントです

弁理士試験ではいかに勉強時間を捻出するか

社会人にとって最大の課題は勉強時間の捻出です。

そこで時間捻出のポイントを簡単にまとめると

  • 予備校の通信教材(オンライン受講など)を利用する
  • 通勤時間や昼休など、いわゆるスキマ時間を活用する
  • 早朝の時間帯を使って勉強する

こうして時間を捻出できれば、やり方次第で1年半から2年余りで最終合格を果たすことが可能です。
勉強時間にすれば2000時間ほどになります(運や個人差もあるが、中には1500時間以下で最終合格してしまう人もいる)。

一発合格のためのワンポイントアドバイス

この後、詳しく解説しますが、最短合格(一発合格)の最大の秘訣は、いかに早く短答対策を軌道に乗せるか、です。
初学者はとかく基礎知識の習得に時間をかける傾向がありますが、インプットの段階では差はあまりつきません。
むしろそこは早めに卒業し、知識を応用する訓練(短答過去問)に注力していきましょう。理解も短答対策で深まります。

弁理士試験の勉強スケジュール~一発合格に向けて~

多くの人が、できれば一発で最終合格したいと考えるでしょう。
特に選択科目免除者は十分可能といえます。

また、仮に論文がダメでも、短答試験に合格すれば、その後2年間は短答が免除になります(短答合格年度を含めると3回チャンスがあるということです)。

ですので、先ずはしっかりと短答対策の勉強に専念します。
そして、短答試験に合格したら、その延長で論文の勉強に取り組んでいきましょう。

本試の問題を見ていただければ分かると思いますが、今日の論文は短答的な問題が多いです。
短答の事例問題を更に長文化し、理由(条文など)と共に簡潔に解答させる、といったイメージです。

具体的な勉強のスケジュールは次の通り(最終合格まで最短の1年半を予定しています)。

弁理士試験の勉強スケジュール(一発合格を目指す)
  • 最初の3ヶ月:入門期(全体像の把握とともに条文に親しんでいく)
  • 次の6ヶ月:短答の勉強(条文の逐条ごとの学習プラス短答過去問の研究)
  • 短答本番までの3ケ月:過去問を使った実戦訓練と短答模試の受験
  • 短答終了後:過去問を使った論文の書き方の習得プラス論文模試の受験

かなりハードなスケジュールになります
特に論文対策に入る時が少し大変です。

確かに短答の勉強を通じて必要な知識の大部分はカバーできるのですが、アウトプットの面で(短答とは別に)論文対策が必要になってきます。

また、初回受験の場合は余裕がないと思いますが、できれば論文模試を受験して、論文問題にできるだけ多く当たっておくことをお勧めします(結果がダメでも必ず来年に結びつきます)。

なお、短答終了後から論文試験までは40日ほどあります。
短答試験の追い込みで大変お疲れだと思いますが、一発合格を狙う方は論文試験までノンストップです。

短答試験の結果が気になると思いますが、少なくとも自己採点の結果が39点以上の方は(短答)翌日には論文の勉強を始めましょう(例年、ボーダーはこのくらいです)。

筆者の経験からすると、集中すればこの40日間で実質半年分の勉強ができると思います。
また、論文プロパーの学習領域は短答ほど多くはなく、解法・解答パターンの習得は十分可能です!

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弁理士試験直前の勉強時間について

試験直前期は、それまでとは違い、いわゆる追い込みの時期となります。
上でも触れましたが、勉強時間もこの時期だけはタイトなものを覚悟しましょう。

逆にいえば、だからこそ直前期までは勉強スケジュールに余裕を持たせておきます(でないと途中で燃え尽きてしまい、最後の踏ん張りがきかなくなります)。

具体的には、短答3週間前(通常はGWウィークに突入する直前)から論文試験までの約2カ月間は、忙しくても1日5時間は勉強したいものです(休日は8時間以上)。

知識を詰め込めるだけ詰め込むとともに、答練や過去問をフル活用して実戦訓練をしていきます。

実は、この2カ月の間で驚くほどの伸びしろがあります。
初回受験生の大逆転劇も決して不可能ではありません(と言うより初回受験生だからこそできるのです!)。

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弁理士試験攻略の大原則

最初に全体像を掴む

どの予備校の入門講座でも、最初に全体像の解説をしていると思います。

予備校を活用される方は、そのカリキュラムに沿って勉強していけばよいのですが、
先ずはこの最初の全体像の把握が重要です。

要するに(個々の木々を見ていく前に)最初に森全体を見ておきましょう、ということです。

特に短答対策では相当細々したところを学習します。
最初に全体像を見ておかなければ、途中で何をやっているのかわからなくなってしまいます。

また、繰り返し学習することで理解が深まるという点でも、全体像を先に見ておくことは不可欠です。

苦手分野をつくらないようにする

受験勉強では、まずは誰もができるところを必ずできるようにしていきます(誰もできないところでは差はつきません)。
特に各科目に足切りがある今日の試験では尚更です。

平均3~4年かかる弁理士試験ですが、短期合格者(1~1年半合格者)が一定数いることも確かです。

失礼ながら、彼らの知識量自体は相対的に限られたものです。
ですが、彼らの頻出マターや基礎事項に対する習熟度、完成度は完璧です。

なので勉強の基本姿勢としては、得意科目を伸ばすのではなく、苦手分野をつくらないことが大切になってきます。

条文と過去問が教材の中心である(特に短答)

ここは勘違いが多い!
合格者でも間違った勉強法を唱えている人がいるので要注意です。

教材の中心は、ズバリ、条文と過去問です意匠、商標は審査基準も必須)。

予備校のテキストや講義は、あくまでも理解の手助けをしてくれるものに過ぎません。

中には条文は要らないという人がいますが、真の意味でヤバいです。
地頭がメッチャ良い受験秀才に多いですが、自分は凡人だと思う人は(受かりたければ)無視すること!

(易しく書かれた)予備校のテキストばかりに頼って、条文は形式的にサラッと見る、なんてやり方を初心者のうちからやってしまうと、後が大変!
条文に触れるのが苦痛になってしまいます。

ですので少しずつ入門のうちから馴染んでいきましょう(ただし最初から完全に理解しようとする必要はありません)。

そして過去問について。

演習用に取っておこうとする人がいますが、コレも大間違い!

全体構造を一通り終わったら、すぐにでも取り掛かってよいくらいです(特に短答)。

具体的な勉強のやり方、注力すべきポイント、頻出傾向や重要度などが見えてきます。
もちろんそれを通じてインプットの強化も図れます。

要するに真のゴール(本試験合格)を見据えることにつながるのです。

受験勉強はアウトプット重視で(特に論文)

忙しい社会人の中には答練を受けない人が散見されます。
インプット(知識の理解や習得)で精一杯という人もいるでしょう。

ですが、特に論文試験は(答練で訓練していないと)非常に基本的なことすら再現することに苦労します(書けそうで書けないのです)。

また、昨今の論文は結構、短答的なところが少なくありません。

なので、短答の勉強が落ち着いてきたら(早い時期に)論文本試験に一度目を通しておくことをお勧めします。

(実際の勉強では)まず短答の勉強に集中して、その後、論文に特化すべきですが、内容的には両者は切り離すべきではないということです。

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最後に

弁理士試験の勉強時間と一発合格に向けたスケジュールについて解説してきました。

弁理士試験の勉強では、その最初の段階で見通しを立てることがとても大切です。

もちろん絶対にその通りになるという保証などないのですが、それなくして行き当たりばったりの勉強をしてみても合格はおぼつきません。

なので、今回は勉強を始める最初の第一歩として、その最も重要な根幹部分を示してみました。

参考にしていただけたらと思います。

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