税理士試験に働きながら合格するのは無理?仕事と勉強の両立は可能?

税理士試験は多くの人が働きながら挑戦します。

また試験合格者も同様であることから、それほど大変ではないのでは、と感じる人もいるでしょう。

ですが実際に最終合格(資格取得)に至るまでは茨の道が続きます。

果たして自分は成し遂げられるのだろうか。

そんな疑問や不安に応えるべく、
この記事では働きながら税理士試験に合格するための職場や勉強期間、さらには成功の秘訣を、様々な体験談も踏まえながら解説していきます。

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:税理士・公認会計士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営

目次

事例から知る、働きながら税理士試験合格を目指すこと

働きながらの受験はかなり大変!

最初に働きながら税理士を目指す具体例をご紹介します。

前半の2例は筆者の知人ですが、働きながらの受験の大変さが窺えます。

Mさんのケース:
お父様が税理士事務所を経営され、その後を継ぐためにも早くから税理士を目指されました。
大学卒業と同時に中堅の税理士法人に入所。主に事業承継や資産税の案件を手掛けてきました。
実務に長けた優秀な方でしたが、法人税がどうしても受からず(10年近く挑戦していたようですが)、結局、仕事を辞め大学院で免除を狙うことに。
本格的な実務と受験勉強の両立の大変さが窺えます。

Sさんのケース:
筆者の実家は特許事務所を長くやっていましたが、その際、経理や税務を担当してくれていたのが某税理士事務所のスタッフ、Sさんです。
やはりMさんと同様、大学卒業と同時に会計事務所に入り、勉強しながら税務一筋でやってこられました。
この方も実務は一通りこなせるのですが、試験の方はかなり手こずったようです。
最終的に5科目合格を果たし自分の事務所を構えましたが、その時の年齢は40歳ごろだったと思います。
本当にお疲れ様です。

以上のケースはほんのごく一部のケースですが、税理士会でも同じような方が実に多いこと。
10年選手はざらです(勉強期間については後述)。

正直、5年以内に資格取得された方の多くが実は大学院免除組、というのが個人的な印象です。

筆者の勝手な感想ですが(特に20代の若い人は)公認会計士試験を狙った方が遥かに近道のようにも思います。
筆者がもし会計士試験ではなく税理士試験を受けていたら、おそらく3科目辺りで止まっていたでしょう。

スキマ時間の活用と短時間集中が成功のカギ

次の例は科目合格者ですが、具体的な勉強法についてのコメント(口コミ)になります。

🍀法人税法合格

私は勉強時間を確保するのが大変で、毎朝3時に起きて出勤前までの時間と昼休みに勉強してました。
基本的には朝は計算、昼は理論の暗記にあててました。理論については、50回転くらい繰り返しやりました。特に理論は、自分の声を録音したものを、通勤中繰り返し聞いてました。直前期は答練や他国の全国模試を4,5回やりました。

スタディング

🍀消費税法合格

私の学習スタイルは、通勤時間はひたすら理論暗記をし、自宅で机に向かえる時間はひたすら計算をやるという形でした。
簿財もそうですが、ちょっとした空き時間に理論暗記をしたり、苦手なところの講義を聞き直したり等、スキマ時間を有効活用し、それを積み重ねていったことが合格に繋がったのだと思います。

スタディング

合格者の方々が共通して口にするのは、スキマ時間の活用と短時間集中です(後者は明示されていませんが、そもそも時間的に嫌でもそうなってしまいます)。

また、そうした勉強スタンスがあってこそ、あの短い試験時間に最大限の力を発揮できると言えます。

税理士試験の勉強は実務のリサーチや学術研究とは違います。

ギリギリのところでやりくりする効率的な勉強メソッドとそれに合った職場環境、これこそが合格の前提条件です。

あともう一つ大切なのが、仕事と受験勉強の切り替え。
特に仕事を勉強中にまで引っ張らないようにしたいものです。

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働きながら税理士を目指せる職場とは

職場選びの基準

言うまでもありませんが、税理士試験は難関である一方、仕事をしながらの勉強はかなりハードなものとなります。

また税理士資格を取得するには通常、2年以上の実務経験が必要なため、結果的に職場は限定されてきます。

具体的には会計事務所や企業経理となりますが、それらすべてが税理士受験生に向いているとは限りません。

そこで具体的な職場選びの基準を挙げてみると次の通りです。

  • 定時で帰宅できるか
  • 職場に資格取得(受験勉強)への理解があるか
  • 実際に税理士受験生が働いているか

定時で帰宅できるか

税理士試験は相当の勉強をしなくては合格はおぼつきません。
一般的に見てコンスタントに1日2時間ほどの勉強が必要になってきます。

そこで職場選びでまず大切なのは勉強時間を確保できること。
現実的には定時に帰れるかどうかです。

確かに多くの職場では、例えば9:00~5:00などと定時を定めていますが、(確定申告の時期以外でも)仕事内容によっては残業が普通に行われていたりします。

ですので、実際に入社してみたら違っていた、などということがないように事前の情報収集・確認が肝要です。

この点については転職エージェントを活用することでリスクを大幅に下げることができます。

職場に資格取得(受験勉強)への理解があるか

働きながら勉強する上でもう一つ大切なのが、職場に受験勉強への理解があるかどうか、という点です。

実は会計事務所ですら、この点については温度差があるもので、
単に勉強時間への配慮だけでなく、資格取得へのサポート体制にもバラつきがあったりします。

例えば仕事量や時間で融通を利かせてくれたり、受験での悩みに対応してくれる事務所がある一方、
「受験勉強については一切配慮しない!」「ウチは受験生は採らない」と断言する事務所もあったりします。

顧客対応や営業ノルマ等の関係から資格取得に非協力的な事務所は意外と多いのです。

そのような職場環境で仕事と勉強を両立させるのはかなり過酷と言えるでしょう。

実際に税理士受験生が働いているか

働きながら税理士を目指す人は、以上の点に注意して職場を選ぶと良いのですが、
一番のポイントは、その職場に実際に働きながら税理士を目指している人がいること。

こうした職場は受験勉強への理解はもちろん、受験生へのサポートにも慣れています。

特に注意したいのは、事務所の募集広告で「受験生歓迎」とうたっておきながら、実際はハードな職場であった、などというケースです。

やはり転職エージェントを通じて情報を得ておくほか、事務所の面接でも確認しておいた方がよいでしょう。

具体的な職場の検討(筆者の個人的な見解です)

税理士を目指す方の職場としては

  • 中小の会計事務所
  • (大手)税理士法人
  • 企業経理

などが一般的です。

その中でも中小の会計事務所(税理士事務所)がまずは第一の候補となります。

スタッフの仕事のメインが税理士補助業務だからです。

税理士補助業務は、通常、記帳代行(会計ソフトへの入力)、決算書の作成、申告書の作成、各種届出等の書類作成です。

比較的負担が軽い事務作業が中心であり、(確定申告時期を除き)定時で帰れるところが多いです。

また勉強と仕事が関連性を有するので、知識と実務のつながりを体感することもできます。

他方、規模の大きな税理士法人ですが(業務内容や事務所によっては)仕事がハードなところもあるようです。

筆者の知人にもBIG4で国際税務に携わったり、中堅の税理士法人で資産税を手掛ける人もいますが、かなりのハードワークとのこと。

もちろん資格取得をサポートしてくれる事務所はありますし、実際に働きながら合格している人もいますが、万人向けとは言えない気がします。

最後に企業経理ですが、どちらかというと少数派です。

確かに企業経理でも税理士合格者はいるものの、資格へのサポート体制や理解は(税理士事務所に比べ)劣ると言わざるを得ません(ただしその分、安定はしている)。

業務の内容も経理一般と税務とは一線を画するところがあり、実務の勉強という意味でもメリットは多くはなさそうです。

筆者自身、税理士を目指して企業経理に転職する人をあまり見かけません。
むしろ、経理に配属されて仕事をしているうちに税理士に関心持ち勉強を始めた、という人が多かったように思います。

結論として、中小の税理士事務所ではなく、規模の大きな税理士法人や企業経理を希望される方は、情報収集の意味も含めて転職エージェントに相談してみましょう。

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働きながら税理士を目指すには何年かかる?

一般的に毎年1科目づつ合格するとして5年かかる、などと言われています。

また(科目によっては)一度に2科目合格も不可能ではないので、その分、勉強期間を短縮できるかもしれません。

ただし、それはすべてストレートに合格した場合の話。

実際には(全力で取り組んでも)1~2度は失敗する人が多く、結果的に最終合格までは5~7年などとなっているようです。

筆者の周囲を見渡しても、簿財(プラス消費税)まではなんとか順調なものの、その後の国税科目で壁にぶつかり、結局10年かかってしまった、などという人も少なくありません。

特に受験勉強が長期化すると、マンネリ化したり、仕事の方が忙しくなったりで、勉強は惰性で続けるようなパターンに陥ってしまう人も多いです。

こうなると、最悪、資格取得できなかった(いわゆる番頭になってた)、なんてことも…

働きながら税理士に合格する秘訣

資格予備校の通信講座を活用する

今日では効率的に勉強する環境は整ってきています。

各種予備校では税理士試験専門のカリキュラムやテキストを提供していますし、Webをはじめとする通信講座も充実しています。
何も予備校(の校舎)に通う必要はありません。

通勤時間などのいわゆるスキマ時間をフル活用して講義を受講することもできるようになっています。

そこでオススメのスタイルは

  • 通勤などのスキマ時間➡暗記と繰り返しの復習、講義の(スマホでの)視聴
  • 机上での勉強➡計算分野を短時間集中して取り組む

といった感じです。
上で紹介した口コミでもわかる通り、多くの合格者の方が実践しています。

これですと、1日当たり(通勤時間等も含めて)2時間ほどの学習で無理なく進めていけるはずです。

選択科目はどうする

税法科目を何にするか迷う方もいると思いますが、多くの人は「法人税法」「消費税法」「相続税法」を選択しているようです(このうち「消費税法」は殆ど必須と言ってよい)。

中には「所得税法」と「法人税法」の両方を選択される方もいるようですが、負担が大き過ぎるためオススメできません。

またいくら時間がないからと言って、単純に「ボリュームが少ないからオススメ」とも言えないでしょう。
(難しいところですが)自分の仕事分野や興味、合格率などを総合的に勘案して決めるべきです。

短期(短時間)集中が大事

税理士試験は年一度の一発勝負です。

しかも試験時間は極めて短く、あっという間に過ぎ去ります。
中には、普段はできているのになぜか本番はできなかった、という人もいたりします(これでまたもう1年です)。

ではどうするか

結論は、上でも触れた短期(短時間)集中です。
特に働きながら税理士を目指す場合は尚更です。

また(あまりおすすめしませんが)受験勉強に専念される場合は、1年に限って(最後のチャンスと思って)同様に取り組むべきでしょう(後述)。

言い換えれば、「もう後がない」といった覚悟で取り組んだ方か最終合格に近づける、とうのが筆者の意見です。

どっちが良い?受験に専念vs働きながら目指す

働きながら勉強することがどれだけ大変かは、上のケースでもわかります。
特に仕事が忙しく、そちらに深く携わるようになると合格はますます遠のきます。

そこで考えられるのが受験勉強に専念すること。

ですが、個人的にはあまりオススメできません。

税理士試験は暗記と計算の割合が高く、内容的にも無味乾燥なものが多いです。
時間が有り余るほどあると、どうしても勉強がダラダラとなりがちです。

ですがそうした状況になると(受験者の1割に入れず)難関を突破することはなかなか難しいのではと思います。

そこで、どうしても時間が欲しい人は、会計事務所でパートタイムをするか、
無職になるにしても1年までと期限を決めた方がよいでしょう(実務経験が豊富な方に限っては、2年まではあり)。

それ以上の経歴の空白はその後の社会復帰を困難にしてしまいます(採用しようとする事務所も激減します)。

受験勉強に専念することのコワさ<コラム>
筆者が遠い昔、会計士受験をしていた頃、同じ予備校の自習室で(30代から40代くらいの)税理士受験生たちを見かけました。
一日中机に向かっているようですが、手持ち無沙汰というか、窓をの外をずっと眺めていたり、コーヒーをすすったりで、時々、思い出したように電卓を叩いていました。
勉強が長引きマンネリ化(惰性化)しているのが嫌でも伝わってきます。
もちろん大きなお世話なのですが、あれでは来年以降もまた同じことをしているのでは、と思った次第です。

資格講座(スクール)と転職エージェントをフル活用するのがベスト

働きながら税理士試験に合格するには、受験対策と職場選びに関係する情報が決め手となります。

ここではオススメの講座(スクール)と転職エージェントを紹介します。

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これら3社を併用していくとよいでしょう。

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