公認会計士は独学で合格は無理?半独学やおすすめテキストも紹介

自室で黙々と独りで勉強

「公認会計士試験にできれば金をかけずに合格したい」
「公認会計士って独学では合格は無理なの?」

こんな要望や疑問を持つ人も多いと思います。

確かに、誰だって何十万円ものお金はかけたくないし、サイトなどを検索してみると「おっ!独学でもイケそうじゃん!」と思っちゃいますよね。

結論としては、独学は全くお勧めしないのですが、様々な理由から「自分はどうしても独学!」という人もいるし、参考として知っておきたいという人もいるでしょう。

そこで、公認会計士では独学合格は無理なのか?のテーマにガチで向き合ってみたいと思います。
また併せて半独学やおすすめテキストも紹介していきます。

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:公認会計士・税理士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営

目次

公認会計士では独学合格が無理な理由

上手くいかず悩む人

受験勉強を効率的にできない

会計士試験は相対評価の競争試験です。
そこでは、まず誰もができるところを、しっかりできるようにしなければなりません。

また、試験傾向があり、試験に出るところと、そうでないところも顕著です。
この辺のメリハリをつけた勉強が欠かせません。

予備校では、会計士試験を研究し尽くしたカリキュラムや情報を提供してくれます。

他方、独学では必ずしも、こうしたことが明確になりません。
試験に出題されない箇所に多くの時間を費やしたり、誰もできない問題に労力をかけたりしがちです。

受験特有の解き方(テクニック)も十分に習得できなかったりします。

結果、時間や労力の割に、いつまでたっても合格点に達しないのです。
予備校に通っている多くの受験生に差をつけられてしまうと言ってもよいでしょう。

市販されている参考書に適切なものが殆どない

そうした理由から、まず試験に合格するためには予備校のテキストを活用することが不可欠です。

言い方を変えれば、(予備校が提供しているもの以外の)市販の参考書では、会計士試験を踏まえたものに必ずしもなっていないのです。

結局、合格に必要な事項を効率よく勉強できない一方、不要な事項に多くの労力や時間を使うことになります。

この記事を執筆している時点では、唯一予備校の教材を提供していたCPA会計学院も、その一般販売を行っていないということです。

事実上、受験競争で戦うための武器(会計士受験に適した教材)が手に入らない状況となっています。

予備校のテキストはメルカリやヤフオクで入手すればよい?:
結論は、不可能ではないですが、やめておいた方がよい、ということになります。
特に中古品などは法令や基準等の改正に対応しておらず、情報が最新でないことがあります(これは致命的です)。
自分でこれらに対応するのは現実的ではなく、しかも全てを揃えられる保証はありません。
また、質問やアウトプットだってできないうえ、オークションなどでは結構高かったりします。

アウトプットの機会が得られない

また、もし仮に教材が入手できたとしましょう。

ですが、次に大きな壁が待ち受けています。
アウトプット、すなわち答練や模擬試験を受けることができません。

これができないということは

  • 自分の答案に対するフィードバックを得られない
  • 自分の学力の相対順位がわからない
  • 実戦訓練の機会が得られない

ことを意味します。

特に論文試験は、インプットしかしてない場合(自分では書けたと思っても)殆ど合格答案にはなりません。
どうしても客観的な評価や改善指導(フィードバック)が不可欠なのですが、独学だとこれが難しいのです。

また、競争試験では自分の相対的な学力(他の受験生との相対的な出来不出来)を知ることが重要ですが、
答練等を受けなければ、それもわかりません。

さらに、実戦訓練(模擬試験など)を受ける機会もなし。
周囲の受験生は皆、答練を通じて百戦錬磨しているにもかかわらず、です。

モチベーションが得られず挫折おそれ

予備校では定められたカリキュラムに沿って勉強が進んでいきます。
その中には答練も組み込まれています。

通常はそのカリキュラムに乗っかって勉強していけばよいでしょう。
つまり各自の勉強の進み具合が見事に管理されているのです。

また、わからない事項があれば、受験指導のプロである講師に質問すれば解決できます。

ところが独学ではこうしたシステムが一切ありません。
すべて自分の自由と責任で管理していくのです。
もちろんわからない事項が出てきても(そのままでは)誰も助けてくれません。

こうした、ある意味で孤立した状況では、モチベーションの維持も難しくなってきます。
自分が何をやっているか、どこにいるのか(さらには、どこに向かっているのか)がわからなくなってくるのですね。

凡人でしたら、挫折は時間の問題です(継続できても数か月といったところでしょうか)。

公認会計士では半独学も考えよう

パソコンを使って勉強する

予備校の通信教材の活用

各種予備校では通信という形態でも教材を提供しています。

この通信教材(今日ではWeb受講が主流)を活用すれば、わざわざ予備校に通学する必要はありません。

自宅に居ながら好きな時間帯に勉強できます。もちろんわからない事項が出てくれば、講師に質問もできます。
つまり学習環境自体は独学と変わりないのです。

違いは、予備校にそれなりにお金を払って予備校の教材を活用する点です。

実は独学するか否かは、結局のところ受験に必要な情報にいくら金を出せるかともいえます。

独学プラス答練・模試

このやり方は、上のやり方に比べ本来の独学に近づきます。

具体的にはインプットは市販の教材(ただし、できるだけ予備校が出版しているもの)を活用しつつ、アウトプット(演習)は予備校を活用します。

こうすることで、先に挙げた独学のデメリットの半分は解消されるでしょう。

ただしこの場合でも、インプットの段階で不安材料が残る一方、答練・模試代は決して安くはありません。

また受験勉強の後半になりますと、アウトプットが中心になってくるため、独学の感覚は薄れてくるかもしれません。

短答は独学、論文は予備校を活用

基本的に上と同じですが、短答までは独学、論文は予備校も取り入れます。

短答は客観テストであり、(以下で紹介する教材を通じて)ある程度独学できる一方、論文は難しくなってくるからです(教材選定からアウトプットまでいろいろと問題が生じてきます)。

なお、短答も実戦訓練として模試ぐらいは受けておいた方がよいでしょう。

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全くの初心者はいきなり会計士の独学を始めない!

簿記・会計の初心者は、いきなり独学で会計士の勉強を始めない方がよいでしょう。

そうではなく、まずは簿記の基礎をしっかり勉強することです。
具体的には、簿記検定3級・2級向けの勉強をします。

会計士の勉強といっても、企業法を除いては全てこの簿記が大前提になっています。
この簿記をやらないで、いきなり会計士試験のテキストを読もうとすると直ぐにつまづいてしまいます。

しかも、たかが簿記といっても、初めのうちは結構戸惑うもの。
簿記は相当システマチックに体系化されていて、片手間にサクッと習得できるものではありません。

例えば借方、貸方で始まる複式簿記一つとっても、慣れるのに時間がかかりますし、
集中的に取り組んでも、基本的な財務諸表を作成できるまでには、1~2か月はかかるでしょう。

また、簿記の勉強は(2級までは)市販の教材で十分独学できますが、ペンと電卓を使って練習することも大切です。
単に読んでわかった、というレベルでは簿記の勉強のうちに入りません。

ですので(絶対に必須というわけではないのですが)学習効果を確認する意味で、簿記検定の2級・3級を受けてみることをお勧めします(注:会計士試験の受験資格には関係なし)。

簿記の勉強が終わったら、次に会計士の独学を本格的に2~3か月試してみる:
簿記2級までの勉強が終わったら、2~3か月ほど会計士の独学を真剣に試してみるのもアリです(おすすめのテキスト類は後述)。
また、お試し期間の最後には、ぜひ本試験の過去問に目を通してみましょう。そのうえで、できれば予備校の無料体験受講をしてみるのです。
勉強方針についての最終的な決断は、それからでも遅くはないでしょう。

公認会計士の独学向けおすすめテキスト

おすすめの本の紹介

諸事情や考え方から自分はどうしても独学したい!という人もいると思います。
また独学用の参考書情報を得たいという人もいるでしょう。

そうした人たちのために、ここでは短答向けのテキストを中心に紹介していきます(一部、論文対策用もあり)。

ただし、科目によっては限られていたり、適切なものが見当たらなかったりしますので、その点は十分注意しておくべきです(特に租税法)。

なお、予備校を活用される方は、ここで紹介するテキスト類より予備校のカリキュラムやテキストを優先させてください(予備校から勧められた場合を除く)。
あれこれ教材に手を出すと、上で述べた通り、勉強の効果を下げてしまいます。

またテキスト類は必ず最新版のものであることを確認しましょう(法令や基準の改定があるため)。

財務会計論

スタンダードテキスト財務会計論I(基本論点編)

スタンダードテキスト財務会計論II(応用論点編)

上記2冊が財務会計用のインプット教材になります。

他にも会計学としての良書はあるのですが、会計士試験向けのものとしては、ほぼこの2冊一択となります。
会計士試験を念頭に置いた内容になっているからです。

勉強の注意点としては、以下で紹介する計算問題集とできるだけリンクさせて勉強します。
つまり理論と計算を並行して行うことです。

なお、全くの初心者向けではありませんので、先に申し上げた通り、簿記の2級レベルまでは必ず学習しておいてください。

財務会計論 計算編 (1) 個別論点・入門編(1)

公認会計士 新トレーニングシリーズの一冊で、財務会計論の問題集の定番です。

特徴は論文試験まで視野に置いた演習を積めること。
全部で7分冊とボリュームがありますが、網羅的な学習をすることができます。

このシリーズのうちの第5巻は連結を、第7巻は企業結合を扱っています。

なお、短答式に特化した演習をしたい方には、次の「ベーシック問題集」をお勧めします。

公認会計士試験 ベーシック問題集 財務会計論 計算問題編 第9版

大原の公認会計士受験シリーズ 短答式対策 財務会計論(計算) 試験に出る問題集(8版)

上記2冊は短答に特化した問題集です。

1冊目の「ベーシック問題集」では短答対策の基礎を身につけていく一方、2冊目の「大原の公認会計士受験シリーズ」では本試験を見据えた演習をしていきます。

論文対策としては、必要に応じて先の「公認会計士 新トレーニングシリーズ」からチョイスしていけばよいでしょう(例えば、「連結」と「企業結合」の巻だけやる、など)。

ベーシック問題集 財務会計論 理論問題編

アドバンスト問題集 財務会計論 理論問題編

この参考書2冊は理論向けの演習書となります。

短答の演習を網羅的に行えます。

特に短答は問われ方にクセというか、特徴があるので、それに慣れるのにとても有用です。

注意すべきは答えをノートにまとめたり、そのまま丸暗記したりするのではなく、
まずは問いに対して自分で考えることです。

以上、財務会計論ではテキスト類も膨大になりますが、配点が高く合否を左右する科目のため、十分時間をかけて取り組んでいきましょう(この科目を疎かにして他の科目での逆転はあり得ません)。

管理会計論

スタンダードテキスト管理会計論

インプット教材ですが、管理会計でも計算事例を自分で解きながら勉強を進めていきます。

とくに管理会計では、なぜそのような計算をするのかが大切なため、計算と理論を平行して勉強していきます。

公認会計士試験 短答式 試験対策シリーズ ベーシック問題集 管理会計論

大原の公認会計士受験シリーズ 短答式対策 管理会計論 試験に出る問題集(8版)

1冊目の「ベーシック問題集」では短答対策の基本を身につけていきますが、2冊目の「大原の公認会計士受験シリーズ」では本試験レベルをも見据えた演習をしていきます。

なお、論文対策としては、最初の財務会計論の参考書で紹介した「公認会計士 新トレーニングシリーズ」で補うとよいでしょう(注:短答は個別問題ですが、論文は大型の総合問題として問われてきます)。

特に総合演習としては「管理会計論 (3) 総合問題・製品原価計算編 (公認会計士 新トレーニングシリーズ)」及び「管理会計論 (4) 総合問題・管理会計編 (公認会計士 新トレーニングシリーズ)」を活用していきます。

管理会計論 (3) 総合問題・製品原価計算編

管理会計論 (4) 総合問題・管理会計編

監査論

スタンダードテキスト監査論

独学用の参考書では、このテキストが殆ど一択となっています。
会計士試験を念頭に丁寧に書かれていますが、それでも結構難しく感じたり、とっつきづらかったりするかもしれません。

そこで監査論でも問題集と関連付けて勉強することが大切です。

つまりテキストだけを無理して読み進むのではなく、

まずテキストを読む→問題集の該当箇所をチェック→テキストに戻って確認

を繰り返すのです(独学ではそれしかないと思う)。

公認会計士 ベーシック問題集 監査論

公認会計士 アドバンスト問題集 監査論

公認会計士試験「論文式」監査論

監査論の問題集のうち、上2つは短答式対策、一番下の「セレクト30題」は論文対策用です。

特に短答式のテキストは必要事項につき相当網羅されていますので、まずはこれを繰り返します。

また監査論では実務を意識した出題がされるのですが(これが厄介)、問題集のケーススタディーを通じて少しでも実務の思考に慣れていくとよいでしょう。

なお、問題集を活用する際の注意点としては、(財務会計と同様)問題を読んでそのまま解答を覚えたり、ノートに書き写したりしないこと。
そうではなく、繰り返し徹底的に読み込むのです。

企業法

はじめての会社法

法律の勉強は特に最初が肝要です。
なかなかイメージできなかったり、理解しづらかったりするためです(最悪、間違った理解や解釈に陥ることすらあり得ます)。

この参考書では、会計士試験を念頭に初心者でもイメージしやすいように、わかりやすく解説しています。
入門書ではありますが、会社法の体系や概念の理解がしやすく、独学していくための土台ができます。

公認会計士試験 企業法 早まくり肢別問題集

ボリュームはありますが、網羅性に優れています。
また、選択肢を選ぶ際の根拠(どうして誤りなのか)を明示しています。

独学で企業法を学習するときは、専門書(テキスト)を中心に勉強するのではなく、こうした問題集を繰り返しやり込むことが大切です。

公認会計士試験用参考法令基準集(企業法)

論文試験の本番で使うのと同じ法令集です。
日ごろから使い慣れておきましょう。

注:実際には財務・監査・企業・租税の4冊の法令集を使うので、すべて揃えておきます。

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最後に

最後にやはり独学はお勧めできないことをいま一度強調しておきたいと思います。

予備校は60万から90万ほどかかってきますが、真剣にやれば元を十分取れるものです(会計士試験に合格すれば、初任給500万円以上が待っています)。

これをケチって、例えば5年やって結局諦めた、などとなったら、その時間の機会損失は計り知れません。
会計士以外の、他のことをやっていた方が遥かに金銭的にも得だった、ということになるのです(というより人生終了?)。

とにかく会計士試験では勉強の方針を含め最初が肝心です。

ぜひ後悔のない選択をしていただきたいと思います。

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